コラム

工場やクリーニング工場跡地は土壌汚染の可能性が高い!

2020.8.2

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土壌汚染が起こる原因として、化学工場などの工場や施設からの排水や廃棄物の埋設が挙げられます。

そのため、工場の履歴がある土地やクリーニング工場の履歴がある土地は事前の土壌汚染調査が求められていて、実際に近年調査を実施する依頼件数は増加傾向にありますよ。

しかし、工場やクリーニング工場の履歴がありながら、何も対策を行わずに土地の取引をしてしまい、後から土壌汚染が発覚した場合は、瑕疵担保責任に問われ損害賠償が請求される可能性があるので注意が必要になりますね。

そこでここからは、工場やクリーニング工場での土壌汚染や調査などの対策について詳しくお話ししていきますね。

目次

  1. 1. 土壌汚染による環境リスク!人体への影響とは?

  2. 2. 義務として調査が必要なケースとは

  3. 3. 工場やクリーニング工場で取り扱っている特定有害物質の種類とは

工場やクリーニング工場跡地での土壌汚染の可能性

土壌汚染は有害な物質が土壌に浸透もしくは混入している状態をいい、そのまま放置していれば人への健康被害だけではなくて、作物の育成不良など生態系にも悪影響を与える機能性があり、国も土壌汚染対策法に則って環境保全対策に努めています。

その土壌汚染が発生する原因は実にさまざまですが、有害物質を取り扱う工場や事業者からの排水・漏水、もしくは廃棄物の埋設が一番の要因として考えられます。

工場跡地は土壌汚染の可能性が高い!

土壌の汚染は基本的に土の中で発生する現象なので、私たちの目で見て判断することが難しくて、さらに大気や水質の汚染と比べると「蓄積性」が非常に高いため、20年・30年前に有害物質に汚染された状態が現在まで続いている可能性が!?

そのため、業種によって取り扱う有害物質は違いますが、工場・クリーニング工場跡地や工場が建っていた履歴がある土地では、土壌汚染が発覚するリスクが高いといわれているのですよ。

もちろん工場跡地だからといって、絶対に土壌が汚染されているというワケではありませんよ?

しかし近年では、企業の環境活動や土地取引に伴って土壌汚染調査の実施が一般化して、何かしらの工場跡地から土壌汚染が発覚するケースが増加しているのです。

土壌汚染対策法によって義務として調査が必要なケース

現在では、土地取引や土地の再開発に伴って自主的に土壌汚染調査をするのが一般化していますが、土壌汚染対策法(以下「法」)に基づいて以下の3つの条件に当てはまるときは、義務的な調査をするとともに、その結果を都道府県知事に報告しなければいけないのです。

2.義務として調査が必要なケースとは

条件➀ 有害物質使用特定施設の使用を廃止するとき(法第三条)

条件➁ 一定規模以上の土地の形質変更の届出の際、土壌汚染の恐れがあると都道府県知事等が認めるとき(法第四条)

条件➂ 土壌汚染により健康被害が生ずる恐れがあると都道府県知事等が認めるとき(法第5条)

この3つの条件のいずれかに該当すれば調査をしないとダメなのです。

その中でも「条件➀ 有害物質使用特定施設の使用を廃止するとき(法第三条)」について、特定の業種(メッキ工場、印刷工場、ガソリンスタンド、ドライクリーニング工場)および特定有害物質を取り扱う施設は、有害物質使用特定施設として都道府県知事に設置の届出が必要になるほか、使用を廃止するときは土壌汚染調査を行う義務が生じます。

そして、土壌汚染調査の結果が土壌汚染対策法で定める基準に適合しない場合は、汚染の状態によって「要措置区域」または「形質変更時要届出区域」のいずれかの区域に指定されます。

義務的な調査および区域の指定については「土壌汚染対策法の区域での違い」[U1] こちらで、法の条文など詳しく紹介しているので合わせてチェックしてみてくださいね!

3. 工場やクリーニング工場で取り扱っている特定有害物質の種類とは

「工場やクリーニング工場の跡地では、どんな有害物質が検出されているのか?」と、有害物質の種類が気になる方も多いのでは?

有害物質について土壌汚染対策法では、第一種~第三種に分類し合わせて26種類の物質を特定有害物質に指定していますが、第三種特定有害物質は農薬などが該当するため、各業種の工場跡地では主に以下の第一種および第二種特定有害物質に該当する21種類の有害物質が検出される可能性があります。

土壌汚染対策法で指定される特定有害物質

◇第一種特定有害物質:揮発性有機化合物 12種類

・クロロエチレン

・四塩化炭素

・1,2-ジクロロエタン

・1,1-ジクロロエチレン

・1,2-ジクロロエチレン

・1,3-ジクロロプロペン

・ジクロロメタン

・テトラクロロエチレン

・1,1,1-トリクロロエタン

・1,1,2-トリクロロエタン

・トリクロロエチレン

・ベンゼン

◇第二種特定有害物質:重金属など 9種類

・カドミウムおよびその化合物

・六価クロム化合物

・シアン化合物

・水銀およびその化合物

・セレンおよびその化合物

・鉛およびその化合物

・砒素およびその化合物

・ふっ素及びその化合物

・ほう素及びその化合物


もちろん、取り扱っている有害物質は業種や製造している製品によって違いますが、ドライクリーニング工場では揮発性有機化合物の「テトラクロロエチレン」という化合物が使われている可能性があるのです。

テトラクロロエチレンは油成分を容易に溶かす性質を持っているので、ドライクリーニング工場の作業工程の中でクリーニング溶剤として広く使われていますよ。

工場・クリーニング店跡地で義務的に調査が必要ない場合、自主調査を実施するケースが増加中

都道府県知事に特定施設の設置届を提出している事業者は、使用を廃止するとき調査を実施し報告する義務がありますが、特定施設の設置がないときは自主的な調査をしていきます。

言い換えれば、特定施設の設置がなければ基本的に調査をしなくても問題はありませんよ。

しかし、土地の履歴に工場・クリーニング工場の履歴があるにも関わらず、何も対応せずに土地の売却をしたときに、もし売却後に土壌汚染が発覚した場合は、瑕疵担保責任に問われ契約の解除のほか、損害賠償が請求される可能性があるので要注意です。

そのため、さまざまな工場およびクリーニング工場の跡地や履歴があるときは、土壌汚染調査の実施が求められ、実際に土地の売却前に調査を行うケースが増加しています。

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