目次
1. 浄化場所をどこにするかが、大きな問題です
ひとくちに土壌汚染対策と言っても、汚染物質や汚染濃度、現場の状況などによって工法も異なります。
そして、対策工事を実施することになった場合、最も頭を悩ませるのが、汚染された土壌をどこで浄化するのか、なのです。
というのも現場で行うか、場外に運び出して別の施設で行うかによって、費用や施工期間と大きく関わってくるからです。
環境省の「土壌汚染防止法に基づく調査及び措置に関するガイドライン(改訂第3版)」では、「区域外措置」と「区域内措置」に分けています。
「区域外処理」の代表的な施工が「掘削除去」で、汚染された土壌を掘削し、場外へ運び出し処理する方法です。
「区域内措置」の中には、「オンサイト」と「原位置」があります。
「オンサイト」は、区域内で汚染土壌を掘削後、サイト内で浄化処理を行うことです。
「原位置」は、区域内で汚染土壌を掘削することなく、薬剤など化学的な方法で浄化する方法です。
ここでは、「オンサイト」と「原位置」の両方に適用される「フェントン工法」と「バイオレメディエーション」について見てみましょう。
2.「フェントン工法」とは
汚染された土壌に、酸化力の高い溶液(過酸化水素と鉄イオンなど)を直接注入し、酸化分解することで浄化を図る方法です。
ベンゼンを除く第一種特定有害物質(クロロエチレン、四塩化炭素、1,2-ジクロロエタン、1,1-ジクロロエチレン、1,2-ジクロロエチレン、1,3-ジクロロプロペン、ジクロロメタン、テトラクロロエチレン、1,1,1-トリクロロエタン、1,1,2-トリクロロエタン、トリクロロエチレン)の酸化分解に作用する働きを利用した方法で、油汚染対策にも適用するのが特徴です。
比較的短期間で浄化する方法であり、コスト面でのメリットがあります。
3.「バイオレメディエーション」とは
微生物や生物、植物などが持つ化学物質を分解する能力・蓄積する能力を利用して、土壌汚染や地下水汚染などの浄化を行う技術です。
大きく分けて「バイオスティミュレーション」「バイオオーグメンテーション」の2種類があります。
「バイオスティミュレーション」は、もともと汚染地域に存在していた微生物の分解菌を活用するもので、「バイオオーグメンテーション」は、外部で培養していた分解菌を添加する方法です。
バイオレメディエーションを行うメリットは、コストパフォーマンスが高いことや、環境への負荷が少ないことなどが挙げられます。
一方、微生物の働き次第のため、計画通りにいかない可能性もあり、場合によっては施工期間が長くなることも予想されます。