土壌汚染は土壌に有害な物質が浸透もしくは混入した状態を指し、人の健康や農作物・植物の生育、食物連鎖に伴う生態系への影響などが懸念されます。
そこで、有害物質を取り扱う事業者は法律(土壌汚染対策法)に基づいて、人への健康被害の恐れがあるときは、土壌汚染対策(調査・対策工事)を行わなければなりません 。
また、土壌汚染対策とともに汚染を予防もしくは拡散させたいために、有効な対策が求められていますが、現在では汚染された土壌を浄化する技術も進化しているのです。
この記事では、土壌汚染を防ぐための法律と拡散を防止するための技術をご紹介したあと、身近な環境の汚染を防ぐために私たちが心がけることをお話しします。
目次
1. 土壌汚染の主な原因と人体や生態系への影響
土壌汚染といえば、数年前に問題になっていた、豊洲新市場の移転に伴う土壌汚染で一躍注目を集めましたが、古くは明治期の「足尾銅山鉱毒事件」が日本で最初の土壌汚染問題として知られています。
それ以降も、1950~1960年代の「水俣病」や「イタイイタイ病」といった人体に深刻な影響を与えた有名な公害問題が発生し、有害物質による土壌・水質汚染が社会問題になっています。
それに伴って国も人の健康や環境を守るための法律を施行し、水質および土壌汚染の未然防止および拡散防止を図っています。
1-1. 土壌汚染の主な原因と人体や生態系への影響
土壌汚染は主に、有害物質を取り扱う事業所および施設からの排水もしくは漏水が原因として挙げられますが、有害物質を含んだ廃棄物の埋設や不法投棄、農薬の過剰散布でも土壌が汚染される可能性があります。
さらに、土壌汚染の原因となっている有害物質が地下水に溶け出して浸透してしまうと、河川や海域まで汚染が拡散する危険もあるのです。
人体への影響は汚染している有害物質や汚染量で異なりますが、万一、人が摂取してしまうと人体にさまざまな症状が表れるほか、農作物や生態系に影響を与え、食の安全が脅かされることも懸念されます。
2.水質汚濁防止法・土壌汚染対策法とは?
水質や土壌の汚染を未然に防げれば、人や生態系への影響は当然なくなります。
そこで、水質汚染や土壌汚染を防ぐための法律がそれぞれ施行され、水質汚染を防ぐための法律が「水質汚濁防止法」、土壌汚染を防ぐための法律が「土壌汚染対策法」です。
◇水質汚濁防止法とは?
水質汚濁防止法は、1971年に施行された公共用水域の水質汚染を防止するための法律です。
その法律では、汚水された水を排出する事業者に対して、公共用水域に排出する水(排出水)の排水基準を全国一律で定めています。
さらに、排水する事業者が集中する地域など、定められた排水基準を守っていても、環境基準を達成するのが困難な水域では、各都道府県が条例を定め、国の基準よりも厳しい排水基準によって水質保全を図っています。
◇土壌汚染対策法とは?
土壌汚染対策法は、2003年に施行された人の健康被害を防止するための、対策を実施することを目的に定められた法律です。
この法律で指定した26種類の有害物質を取り扱う事業者は、「有害物質使用特定施設」として都道府県知事に届けなければなりません。
そして、指定有害物質を取り扱っていた工場や施設を廃止するときや、工場跡地など土壌汚染の可能性が高く人に健康被害が生じる可能性があるときは、その土地の所有者は環境省が指定した「指定調査機関」に、汚染状況の調査の実施を依頼するように定められています。
そして調査の結果、有害物質の量が土壌汚染対策法で定める基準値を超えている場合は、汚染の除去や浄化などの措置を命じられる場合があります。
このように、水質汚染および土壌汚染に対して、それぞれ法律に則った対策が必要になり、違反した場合は罰金などの処罰が処せられます。
3.土壌汚染の拡散防止および除去するための技術紹介!
上記でご紹介した土壌汚染対策法は、人の健康被害を防止するための対策を実施することを目的に定められた法律ですが、調査の結果が同法で定めた基準値を超えていれば、除去や浄化などの措置を講じて基準値以下に抑え汚染の拡散を防止しなければなりません。
その土壌汚染の拡散を防止する技術として、現在では主に以下の技術が用いられています。
土壌汚染の拡散防止技術
・場外搬出
・場内処理
・原位置処理
土壌汚染の拡散防止のため上記の3種類の技術が用いられますが、「どのような処理が行われるのか?」について、ここでは東海ジオテック株式会社での取り組みをご紹介します。
3-1. 場外搬出
土壌汚染に対して、場外搬出が対策工事として一般的に実施され、別に「掘削除去」とも呼ばれています。
処理の方法として、文字通り汚染された土壌を掘削して、場外の処理施設へ搬出して汚染土壌の処理を行います。
場外搬出は汚染された土壌を場外に搬出するので、対象の土地から汚染土壌を完全に除去できるほか、工期にズレが生じにくいです。
3-2. 場内処理
場内処理は場外搬出とは異なり、掘削した汚染土壌を場外へ搬出せず、敷地内に設置した専用の機器・施設を介して、汚染土壌を処理する処理方法です。
東海ジオテック株式会社では、以下の工法を利用して汚染を除去・浄化した土壌をそのまま埋め立てるため、採用する工法によっては工事費が安くなるメリットがあります。
場内処理の処理工法例
・土壌洗浄:敷地内に洗浄施設を設置
・バイオレメディエーション:微生物を利用して汚染を浄化
・不溶化処理:不溶化材を利用して汚染物質の溶出防止
場内処理を採用していただく場合、汚染土壌を処理する機器や施設を設置するスペースが必要になるほか、コストダウンを図るためには、ある程度の土量が必要になるのがデメリットとして挙げられます。
3-3. 原位置処理
原位置処理は、汚染土壌を動かさずにその場で処理する工法です。
汚染土壌をその場から動かすことなく処理を行うので、拡散するリスクが限りなく低くなります。
東海ジオテック株式会社では、原位置処理として以下の工法を利用して処理を行っていますが、処理土量が多ければ工事費を抑えることができます。
原位置処理の処理工法例
・フェントン工法:酸化剤(フェントン剤)を利用して汚染を浄化
・バイオレメディエーション:微生物を利用して汚染を浄化
・不溶化処理:不溶化材を利用して汚染物質の溶出防止
原位置処理は、コスト削減や拡散リスクの低下などメリットが多い一方で、工期にズレが生じやすいのがデメリット面として挙げられます。
以上の3種類の処理工事のいずれかの処理技術で土壌汚染対策を行っていますが、東海ジオテック株式会社は調査から土壌汚染の処理まで一貫した対策を行っています。また、汚染対策法に精通したプロの技術者が丁寧に調査を行うことで、コスト削減も実現することができます。
依頼いただければ見積もりは無料、納得いただける価格で高品質な調査および処理工法をご提案させていただきます。
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