日本では豊洲新市場での土壌汚染問題を筆頭に多くの事例が顕在化していますが、それは日本に限らず世界的に土壌汚染問題は深刻化しているのです。
それに伴って世界の諸外国も、日本の土壌汚染対策法に同じような法律を施行して、人の健康や生態系の保護および拡散の防止を図っています。
目次
1. 世界の土壌汚染の現状は?
土壌汚染は日本だけでなく世界の諸外国でも土壌の汚染が悪化しており、人の健康や食の安全が脅かされていると国際食糧農業機関が警鐘を鳴らしています。
特にアメリカやヨーロッパなどの先進国での土壌汚染問題は深刻で、全体で300~400万ヶ所程度の土壌汚染が顕在化していると言われています。また、国際食糧農業機関によれば、すでに世界の土壌の33%は何らかの要因で汚染されており、作物の収穫量の減少が懸念されているのです。
諸外国の土壌汚染に対する取り組み
世界規模で土壌汚染問題が深刻化している中、諸外国でも日本の土壌汚染対策法のような法律を施行しています。
それによって、人への影響や汚染の拡散防止を図っているわけです。
そこでここからは、諸外国の土壌汚染対策として「アメリカ」・「中国」・「ドイツ」での土壌汚染対策をご紹介します。
2. 「アメリカ」の土壌汚染対策
アメリカでは1980年に初めての土壌汚染に関する法律として「包括的環境対策・補償・責任法(通称:スーパーファンド法)」が施行され、これまで土壌汚染問題に対して大きな成果を挙げています。
日本の土壌汚染対策法では特定有害物質として26種類の物質を指定していますが、アメリカのスーパーファンド法では約800種類の物質を有害物質として指定しているのです。
この法律は環境汚染の拡散防止を主な目的とし、現在および過去の土地所有者が費用を全て負担して土壌を浄化しなければならないようになっています。
また、アメリカでは上記の法律以外にも「資源保護回復法」「安全飲料水法」「水質浄化法」といった法律を施行し、土壌や水質の汚染防止に努めています。
3. 「中国」の土壌汚染対策
中国といえば環境汚染が社会問題になっていますが、ニューズウィーク日本版(2019年12月2日掲載)には、2014年に行われた中国本土の全国調査の資料が掲載されています。
この資料によれば、中国の土地の約16%(モンゴルの面積に相当)が、肥料や殺虫剤・重金属・プラスチック・その他の化学物質により土壌が汚染されているとされています。
そんな中国では、少し遅いと感じますが、2018年8月に日本と同じような「土壌汚染対策法」が国によって可決され、2019年1月から施行されています。
中国版の土壌汚染対策法には「土壌環境質量 建設用地土壌汚染リスクコントロール標準(試行)」が策定され、その中で85項目の土壌汚染基準が設けられています。また、中国では工業用地や住宅などの建設用地だけでなく、鉱山、農地、建設用地のすべて土地を土壌汚染法で規制しています。
4. 「ドイツ」の土壌汚染対策
ドイツは工業の歴史が古く、かなり以前の産業活動による土壌汚染のほか、二度の世界大戦に伴う国防事業に由来する軍事関連の土壌汚染が社会問題になっています。また、現在の工業用地や廃棄物処分場の汚染対策が課題となっています。
その土壌汚染対策として、ドイツでは1999年3月に「連邦土壌保全法」が施行されるのと同時に、同年7月には「土壌保全汚染跡地令」が施行されています。この2つの法令の施行によって、ドイツ国内の州でバラバラだった土壌汚染対策が統一されたのです。
この法律では土地用途によって調査値と規制値が定められ、更に浄化目標が各カテゴリーの中で個々の用途に沿った形で規制当局と土地所有者の合意によって決定できるように定められています。
5. 土壌汚染による社会問題は世界規模!
土壌汚染による社会問題は、日本だけでなく世界の諸外国でも顕在化しています。
本文で説明した通り世界の土壌の33%は程度の大きさは異なりますが、何らかの物質に汚染され、人の健康被害や作物の収穫量の減少が懸念されています。
そこで、日本では2003年に土壌汚染対策法が施行され、本格的な土壌汚染対策を図っていますが、世界の諸外国でも独自の法律が施行され、土壌や水質を含めて総合的な環境汚染対策に取り組んでいます。
日本では土壌汚染対策法に則って自主的な調査を実施するのが一般化しています。
もし、土壌汚染対策について分からないことがあれば、調査から対策工事まで一貫した対策を実施している東海ジオテック株式会社までお気軽にお問い合わせください。
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